熱中症の症状って不調になってどうしようもない状態になってから気づくことが多いのではないでしょうか。
自分自身のことだって、あれ?どうしたんだろう・・・頭がぼーっとして身体が思うように動かない、ひどい頭痛がし始めた、気持ち悪いなど耐えられなくなってから気づいたりしませんか。
自分自身のことですらそうなんですから、自分の身体ではない愛犬の身体の変化にはより気づきにくいもの。
熱中症の症状ってどういうもの?
熱中症の症状がどういうものなのか
知っていることで愛犬の熱中症を軽い状態で回避してあげることができるかもしれません。
熱中症は熱と湿が原因となり起こります。
熱(暑さ)でエネルギーが消耗し身体の潤いがなくなってしまい、潤い不足は血液をドロドロにし心臓に負担をかけます。
熱は上に上にとあがっていくので、頭がボーッとして、皮膚が弱い犬の場合赤みも見られるでしょう。
赤み(炎症)はどんどん身体の潤いを奪っていくので、皮膚は乾燥し血液は濃くなりドロドロになっていく。
血がドロドロになると心臓は身体に血液をおくるために、頑張って働かなくてはならず負担が大きくなってしまいます。
また、湿(湿気)で胃腸の働きを弱めてしまい食欲不振や嘔吐下痢を起こし、食べ物からエネルギーをもらえなくなり夏バテ状態となります。
熱や湿で身体が辛くなってくると
・舌を出してハァハァしだしヨダレが出でくる
・歩き方がゆっくりになったり、すぐに座り込み歩きたがらなくなる
・呼びかけへの反応が鈍くなる
・頭頂部を触ると熱い
・皮膚や舌が赤みを帯びてくる
・落ち着かなくなってくる
このような様子が見られ始めると思います。
この段階で気がついてあげられて対応ができたら、それ以上辛い思いをさせずに済むのではないかと思います。
ひどくなってしまうと心不全だってあり得ますし、そこまでではなくとも胃腸を弱めてしまうことで長引く不調につながってしまうことがあります。
なぜ熱中症になるの?
暑さと湿度で熱中症になるから、暑い時・湿度の高い時の外出は気をつけよう。
そう考えて愛犬の散歩時や留守番時に対策をしている方は多いのではないでしょうか。
それでもなぜ熱中症は起こるのか・・・。
もちろん暑いところや湿度の高いところに長時間いることが原因となりますので、そこを回避している場合として、最も多い原因は
気を付けるあまりに徹底した温度や湿度管理をし過ぎていること
だと思われます。
そう、良かれとおもってやっていることが、実は愛犬を体温調節ができない身体にしてしまっているのではないでしょうか。
普段快適な室内で暮らす犬にとって、散歩時の外は暑いしジメジメしていてとても不快なもの。
散歩は楽しいけど・・・まてよ、なんだか身体を動かしにくいし息苦しい・・・なんて思って歩くのを渋っているかもしれません。
犬は人より地面に近いから暑さも人よりも厳しくなっていたり、湿度60%になると体感温度が2℃上がる・・・という認識はあっても
それで実際にはどのくらい身体への負担が大きくなっているのかはわかりにくいものです。
熱中症を回避するには?
室内の環境に変化をつけてみよう
一緒に過ごせる日にエアコンを止めてみましょう。
丸一日というわけではなく、朝の散歩の後などエアコンを止めた状態で窓をあけ風が入る部屋で過ごす習慣をつけてみる。
犬は身体に熱がこもるとハァハァし身体の中の熱を放出します。
散歩時のように炎天下の中でのハァハァは熱中症の原因にもなってしまいますが、
室内で適度に風ある中で身体をさらに熱くさせるような環境ではない時に、ハァハァさせることは犬自身の身体を整えるためにも良いことです。
とはいえ、それまでの犬の環境によってはまったく自身で体温調節ができない身体になっているかもしれませんので、
最初はほんの数分からやってみるといいかもしれません。無理は禁物です。焦らず徐々に。
それでも熱中症になってしまったら
まずはその環境よりも涼しい場所に移動しましょう。
身体中に熱がこもっている状態なので身体だけではなく頭にも水をかけ帰化させることで、外側からも熱を出す手伝いをします。
内側からの潤いに水分補給をします。
その時に、なるべく冷たい方がいいだろうと氷水を使うのはNG
外側からも飲ませる水も常温にします。
氷水の場合内臓に負担をかけてしまうからです。その理由から冷たい水の大量摂取には特に気をつけましょう。
少し落ち着いてきたら塩分を飲み物や食べ物で補給します。
こういった対応をしながら状況に応じて動物病院へ連れて行ったり、家で安静にして過ごさせます。
熱中症の度合いにもよりますが、決して楽観視していい症状ではありませんので、飼い主としては常に気をつけていたいですね。
おすすめの熱中症対策
苦味のある食材で熱をとろう
代表的なものはゴーヤですが、苦いという認識はなくても胡瓜も苦味食材です。他に、セロリ・ピーマン・春菊・ケール・パセリなどがあげられます。
苦味のある食材は、身体の熱をとってくれます。他にも余分な水分や老廃物を取り除いたり、神経の興奮を鎮める効果も期待できますので、夏にオススメの食材となります。
果物で潤いをみたそう
夏の果物の甘味は潤いをみたしてくれます。
代表的なものはスイカですが、他にも桃・梨・メロン・ブルーベリー・マンゴーなどがあげられます。
食べさせすぎるとお腹を壊してしまう犬もいますので自分達が食べる時に少量わけてあげるのも良いですね。
緑豆で胃腸を労わろう
夏は冷たいものを身体に入れてしまいがちだったり、冷房で冷えていたりして気づかないうちに胃腸が弱ってしまっています。その状態では水分のコントロールができなくなっていて、どんどん身体の中に湿がたまっていきます。
下痢をするまでには至らずとも、お腹がキュルキュルいってたりする時はまさに腸に湿がたまって弱っている時。
ときどき利水作用のある緑豆をごはんにいれてあげましょう。
緑豆は利水の他にも熱をとったり解毒効果もあり、胃腸を労わるのに適した食材といえると思います。
ハトムギと合わせるのも良いですね。
食べ物でエネルギー補給しよう
夏は暑さで消耗してしまうので、食べ物でエネルギー補給をしなくてはなりません。
暑いからといって冷たいものを・・・ではなく、暑い時こそ温かい食べ物をとることで胃腸に優しくエネルギー補給します。
山芋などネバネバ食材・大豆や豆腐などを取り入れながら、愛犬の好きなものも加えて食欲が湧くように考え、愛情ごはんを時々でもいいので食べさせてあげられると良いですね。
たくさん眠ろう
夏はあまり動かないからそんなに疲れないだろう・・・ではなく、暑さでエネルギーがどんどん失われていきます。
散歩も朝早くて夜は遅くなりがちですが、しっかり眠れる環境を整えてあげることが大切です。
昼間に眠ればいいわけではないので、しっかり夜に身体を整えるためにも早めの就寝ができるように心がけてあげましょう。
熱中症体験談
散歩後に夕飯を作る私を遠くからジッと見つめていたあくびに気がつきました。
普段ならキッチンまで近寄ってきて目をキラキラさせて待つ犬なのに。
話しかけても近寄ってこない。
(耳が聞こえないので当たり前なのだが、私が話しかけているのはわかる)
そこでやっと異変に気づいたのです。
あくびは私が近づいてもまったく身体を動かさずにそこにたちつくしていました。
そのうち始まるパンティング。
すぐに熱中症だと気づくことができず、歩かせようとしたが無理でした。
あくびは頭を動かすこともできず、水を見ていました。
水を口先まで持っていくと、ガブガブ一気に飲み干すあくび。
まだ飲むかも・・・と水をいれるとまた一気飲み。
そして・・・大量に吐きました。
いったい何が起きてるのか・・・
よくわかりませんが、今自分にできることはあくびが選ぶことをサポートすることだと思いました。
そして、飲んでは吐く・・・を繰り返すうちに身体を動かせるようになってきました。
普通に動けるようになるまで30分ほどはかかったでしょうか・・・。
これがあくびと私の熱中症体験談です。
その日はお預かりのフレブルくん・トイプードルくん・そして愛犬のふくる・るちあと共に5頭で8月の陽が落ちる19時頃に散歩をしていました。
暑さに弱いであろうフレブルくんを気遣いながらの散歩だったから短時間の散歩コース。
身体の小さなトイプーやミニチュアプードルのるちあの様子も見ながら小型犬たちに無理はさせないよう気をつけていました。
ふくるやあくびは小型犬ペースで歩く私に合わせて歩いていたので、まったく問題ないと思っいこんでいました。
そんな過信が仇になってしまった。
胸が大きなあくびにとって、熱気は大敵だったのです。
その大きな肺にたっぷりと熱気を吸い込んでいて、ハァハァしても熱気がなかなか出ていきません。
自分のペースで歩けないことも多少のストレスにはなっていたと思います。
それに加え、フレブルくんを預かることで室内の温度設定も低めに設定していた、というあくびにとっての熱中症警告ラインをオーバーしてしまったのだと思います。
そういう小さな要因に飼い主である私が気付けていれば、こんなに苦しい思いをさせずにすみました。
ただひとつ。静かにジッと私を見つめる・・・
この行動を異変と気付けて良かったです。
おとなしいから偉いわ、なんてあの時スルーしてみんなのごはんを準備しつづけ、時間が経過していたら、もっと悪化していたはずです。
熱中症は炎天下だけじゃなく、高湿度や無風、昼間の暑さが残る夜にも起こります。
身体に熱がこもりやすい犬にはスプレーなどで身体を定期的に歩きながら冷やしてみたり(その時は脇の下や鼠蹊部が良い)、塩分のある寒天ゼリーなどで水分補給したり、愛犬の様子を見ながら散歩したいと思います。