ふくるとの出会いについてはすでに書いてあるので割愛しますが、ふくるのように過酷な環境が背景にある場合、やはり心のトラウマだけではなく、身体自体がある種の防衛本能が働いていること(医学で説明できない何か)があると、私は思うんです。

これは全く根拠のない話なので、つっこまないで読んでいただきたいのですが、

例えば、箱入り娘で育ってきた方が突然、何もかも失って世間にたった一人放り出された場合、絶望の中その環境に馴染むべく奮闘しながら生きていくと思うんです。でも、生まれた時からその絶望の中のような環境にいた場合、そこで生きてく術を自然と身につけていくのではないでしょうか。例えが下手すぎて申し訳ない。

犬も同じで、その過酷な環境で生きてく術を身につけた犬は、新しい何不自由のない生活を手に入れた時、きっと戸惑うでしょう。

愛犬ふくるの話に戻します。あくびやるちあは、同じく譲渡していただいた犬ではありますが、ふくるとはこの「背景の環境」が違いました。

私は、過去に同情したり、保護犬というくくりは好きではありません。どんな経緯があろうが、みんな現在幸せだからです。ですが、背景を知ることは、その犬のケアをしていく上では重要になってくると思うんです。

ふくるは、性格的な部分はここでは省きますが、その背景から、譲渡される前は、いわゆる栄養失調でもちろんお腹には虫もいました。譲渡後も、下痢を繰り返しましたが、あくびと比べると繊細さにかけるというか、逆にずいぶん限界まで対応する身体だな、と思って私は見ています。

これがどういうことかというと、そう、過去の背景の環境によって、生きていくために身体が身につけた防御能力なのではないかと。

そしてこれは、よくはないですよね。私たち協会の行っている活動は真に健康的な身体を作り、犬が犬らしく生きることを願っているのですから、この劣悪な環境に対応できる身体は良いものではありません。

そんなふくるとかれこれ7年生活してきています。股関節形成不全である、ふくるのサポートはもちろんしておりますが、ふくるのこの身体の中のことでは、7歳になった今でも続く葛藤です。

ここからお話しする中で写真も添付していきますが、血が苦手な人は最後の写真は見ないようにしてくださいね。

ふくるは、4歳を迎えてすぐに左目の下がぷっくり腫れてくる症状が出始めました。最初の病院では、鼻涙管が狭くなってるからとその対処法を教えてくれました。その方法でケアをしていましたが、なかなか完全によくなることはなく、4歳の頃から常に左目の下が腫れている日々を送っていました。その腫れの大きさはその時によって変わり、硬さも違っていました。その症状で3軒の病院をまわり、どの医師からもはっきりと病名が告げられることはなく、鼻涙管の狭窄なんだろうけど、こんなに腫れる症例は見たことがないし、本犬も全く気にしていないし、中の液体を調べても悪いものではないとのことから、飼い主が見た目を気にしないでいられるのなら様子見でいいのでは?との見解。

悪性の何かでないことには安心はしましたが、症状が出ることには必ず原因がある、と考える私は、常に頭の中でどうしてあげたらいいのだろうと思っていました。

そこで自分でケアを考え、大体3ヶ月から半年様子を見ながらそのアプローチを続け、効果が見られないなら次のアプローチ方法を考えるという日々。ですが、なかなか完治することはなく、眼科医への紹介で、鼻涙管狭窄そのものを外科手術で行うという医師の提案を受け入れるしかないか?と悩んでいました。そこで私の出した結論は、6歳の誕生日までに症状が緩和されていなかったら・・・というタイムリミットを自分自身で設けました。全身麻酔に抵抗があったため、あまり高齢になってからでは嫌だったからです。

6歳の誕生日まであと3日。病院嫌いなふくるにまた辛い想いをさせてしまうな・・・と覚悟を決めかけていたその日、朝、いつものようにマッサージをしていたら、ぶにゅっという感触とともに、腫れがなくなりました。なんていうミラクル!と喜んでいられたのは、たったの2ヶ月。また腫れ始めましたが、私のアプローチもまんざら間違えではなかった、と思っていたので、手術という選択肢を消し、4軒目に伺った新しい病院で、医師に同じように腫れについて聞いてみたところ、これがまた意外なほどあっさりと答えを出してくれました。

病名というよりは加齢に伴う症状の一つで、人間でも目の下がぷくっと膨らんでくるよ、40代を超えた男性に多いかな、とわかりやすく教えてくれました。犬でも7歳を超えると、こんなにひどくはないけど、目の下が少し腫れぼったくなる犬はいると。

その言葉にまたヒントをもらうことができました。過去の背景の環境により、ふくるの身体は、他の環境にいた犬よりは加齢が早かったのかな、って考えたのです。そうすると、また違うアプローチ方法がポンポン浮かんできました。

以後サポートすること約1年。その日は突然やってきました。ふくるが匂い嗅ぎをしながら歩いていて、パッと私の顔を見上げた瞬間、「え?」っていうことが起きたのです。

見上げたその顔には血が飛び散っており、目は血で開けられていない状態。慌てて、綺麗な水を顔にかけました。まだ血は出てくるものの、眼球に何かあったようではなさそうでした。散歩を切り上げ、帰宅してから洗眼液を作り(ハーブで)、確認してみると、腫れていた袋が破裂したのかな?と感じました。その出来事から、まだ1ヶ月たっていません。大体腫れが引いても2ヶ月で再発を繰り返してきているので、また1ヶ月後には腫れ始めるかもしれません。ですが、もしかしたら、鼻涙管自体が破けて細かった部分が広がった可能性も考えています。そんなことあるのか、医師ではないのでなんとも言えませんが。

今まで私が対応してきたあくびの症状も、るちあの症状も、完治やサポート方法がはっきりとわかるものばかりでした。ですが、ふくるの身体に現れる、この症例を始めとするいくつかの症状は、はっきりと病名がつくものではなく、生死に直接関わったり、行動の制限をされるようなものではありません。ですが、確実に症状には原因となるものがあり、それが背景の環境による、一言で言ってしまえば体質、なのではないでしょうか。

体質改善は簡単なことではありません。ですが、現在の犬を取り巻く環境には絶対に必要なものだと考えます。何かほんの少しでも違和感を覚えた時、見逃さず、症状に向き合っていこうと思える方が増えることを願っています。そして、同じように考える方をサポートしていきたいと思っております。

以下の写真は、注意してご覧ください。苦手な人は見ないでくださいね。