自然治癒力を引き出す犬育て。
DCCAの茂木友美です。
もともとはシッター・犬語講師だった私が今の仕事を始めたきっかけ。
それは愛犬あくびと出逢ったから。
でもこの運命の出逢いはきっともっと前から決まっていたと思うんです。
19年5ヶ月という年月を共に過ごした愛猫を失った時から。
あくびとの出逢い
私とあくびの出逢いは必然だったと今は思う。
あくびは河口湖付近の大型犬多頭飼育という素晴らしい環境で育ちました。
ダルメシアンの父親と大型mix犬の母親との間に産まれた12頭のうちの1頭。
子供の頃からいつか大型犬と暮らしたいと願っていた私でしたが、犬をお金で買うということにどうしても抵抗があったため、いつか出会える縁を求めてサイトを見るのが日課でした。
そんな中での出会い。
早速やりとりをさせていただき、先住犬のふくるを連れて私たち家族は12頭の仔犬に会いに行きました。
そこで出会った元気一杯の仔犬たち。
そのころの私はすでにペットシッター・仔犬の社会化トレーニングの仕事をしていました。
資格はとることができませんでしたが、動物看護士の勉強もしていました。
そんな私が、12頭の仔犬の中からあくびを選んだ経緯から書いていこうと思います。
初めて抱いた瞬間「このこだ」とわかった
元気に私たちに群がる12頭のパワフルな仔犬たち。
あっという間に靴紐はほどかれ、服は引っ張られ、抱いてみるとずっしりと重い身体。
仔犬の仕事をしていたので、その子たちの性格などはある程度すぐに見分けることができました。
どの仔も可愛いが、先住犬の性格を考えるとどうしても♂犬は選べなかったので、♀犬限定で1頭ずつ抱かせてもらいました。
その時、正直なところ、外見が私好みの仔犬から抱かせてもらっていたのですが、このこ!と直感が働くことはなく・・・縁がないのかな・・・と思っていたところに、パッと目に入ってきたのが、みんなのパワーに押されて後ろの方で尻尾を振ってアピールしていた小柄な仔犬。
「あの仔も♀ですか?」と聞くと、性別を確かめてくれた飼い主さん。
そして初めて私はあくびを抱きました。
生後59日目のことでした。
2ヶ月でアレルギー
念願の大型犬の仔犬。元飼い主さんの犬を飼う環境は素晴らしく、社会化的にはなんの問題もありませんでした。
生後2ヶ月、病院へは一度も連れて行ったことがなかったそうなので、早速ワクチンをうちに病院へ行きました。
その時の医師から「この仔はアレルギーがあるね」と言われました。
無知な私は、そうなんだぁと思うだけにとどまりました。
あくびとの生活は正直、私の範疇を超えることだらけで、あ〜これが大型犬のパワーか・・・とそれしか考えていませんでした。
もともとドッグフードは質の良いものを選んで与えていましたが、その食の細さに悩まされる日々。
そして、仔犬の社会化トレーニングを仕事としているはずの私なのに、あくびに振り回される。
私が今まで仕事で関わってきたどんなタイプの仔とも違っていました。それについては後述します。
その日突然やってきた
そんな毎日賑やかで楽しい日々を過ごしていたある日、ドッグランで他の飼い主さんから無添加チーズおやつを頂いた日の夜、いきなり大量に何度も吐き、下痢をし、顔がパンパンに腫れるという事態が起こりました。
一晩中眠れず苦しむあくびに、私は付き添うことしかできず、近所の病院が開く時間に駆け込みました。
すぐにアレルギーと診断され、注射をうち、病院内で様子を見ることに。
だんだん顔の腫れが引いてきたことから、食物アレルギーと診断されましたが、帰宅後もどんどん悪くなり身体の中から生コンのような吐瀉物が大量に出てきました。
2日間で3キロ痩せ、10ヶ月なのに骨と皮だけの容姿に変貌してしまいました。
とても怖くて、このまま死んでしまうのではないかと、その時の恐怖は今でも覚えています。
その恐怖の中、すでにある決断をしていました。
それは、手作り食に変えること。
私がラッキーだったのは、ほんの少しの知識があったこと、普通は療法食を強く勧めるであろう獣医師ですが、かかりつけ医が理解のある先生だったこと、そして知り合いが手作り食を推奨するトレーナーであったこと。
その時、犬に関わる仕事をしていてよかった、と本当に思いました。
知識がなければ、途方に暮れ、勧められるまま薬と療法食で対処していく生活を続けていたことでしょう。
そんなことをしていたら・・・今あくびと過ごしている時間はなかったかもしれません。
あくびのアレルギーと向き合う日々
啖呵を切った私は(実際にはそんなことはない。笑)誰にも相談できず、どうにかしてこの状態から真に抜け出さないと!と一人で奮闘していました。
ですが、あくびのアレルギーを特定するのはとても難しく、正直心が折れそうになったことが何度もありました。
その段階の私では、なす術が見当たらないところまで追い詰められたのです。
ただ一つわかっていたことは、私が決断しないとあくびの症状が治ることはないということ。
自分との葛藤の中で、でた結論は、自分の知識をさらに深め、勉強しながらあくびの症状と向き合っていくしかないという覚悟でした。
家族からも、こんな状態が続いていて大丈夫なのか・・・医師の言うことを聞いた方がいいんじゃないかと、何度も心配されました。
が、誰よりもあくびの身体を心配し、知っている私以外に誰があくびを治せるんだ!と心の中で反論しながら、向き合い続けました。
時間をかけながら食材の特定をしていく中で気づいたことは、観点がそもそも違う?ということ。
違う方向から見てみると、案外すぐに答えが見つかったんです。
食材ではなく食材に添加されているものだと。
その後は原因の排除に努めることで、悪化を防ぐことができました。
特定できたから終わり、ではない
次は、1年半と長く続く免疫力が低下しきった身体の改善です。
免疫力をつけるためにできることを考えた結果、ドッグマッサージの資格をとりながら、デトックスで体質改善を試すこと。
試行錯誤の末、ようやく栄養素を身体に取り込めるようになってきたあくびを確認できた時は、本当に嬉しかったです。
試行錯誤とは、そもそも腸が不健康だから栄養を取り込めないんだと考え、腸を健康的にするためその時の知識を総動員し、ケアを行ってきました。
デトックス作用のあるごはん作りをし良質な食材とサプリを使い、毎日のマッサージで身体を整えていきました。
やっと体重が増え始めたのに・・・
喜びも束の間、また違う側面から症状が出てきました。
いきなり(その時の私にはそう感じました)発作が起きたのです。
診断は「部分てんかん」。
こればっかりは原因の特定もできないと言われ、私ではどうすることもできないのか?と思い悩みました。
ですが、そんな時には、私の得意分野(今の自分だからできないんだ、と思う思考回路)が発動。
できることを探すための私の知識が足りないんだ・・・と考え、とにかく情報を求める日々。
そんな時に私が頼りにするのは、日本の情報ではありません。
日本はペット後進国だということは周知の事実ですので、その中で正しい知識を探す方が困難なのです。
海外の文献や論文などを読み漁りました。
英文を読めるわけではないので、これはもちろんとても時間のかかることでした。
そしてその難しい英単語が私の英訳で正解だという確定もない。
しかし、そこはある程度の知識で補えるのです。
そこである日見つけた答え(これについては私だけがそうだと確信しているだけなのでブログには書きません。同じことで悩まれている方がいたらメールくださいね)を、数人の医師に聞いてみたところ、そのような事実はないとの返答。
それはそうでしょうね。
ですが、私にはどうしてもそれが正解だったとしか考えられませんでした。
答えがわかってしまったら、このままその生活を継続させるわけにはいかない、と犬との生活環境の改善を次の目標にしました。
実はそれが、引っ越しを含めた環境の改善であります。
10ヶ月で添加物アレルギーを発症し、3歳でてんかんを発症、4歳になろうとしていた頃、このことに気づきました。
まるで後押ししてくれるかのようなタイミングで次男の高校受験が終わり、ずっと住んでいたその地にこだわる必要もなくなりました。
そして、持ち家を手放すという決断をサラッと受け入れてくれた家族には感謝しかありません。
転居が実現し、愛犬たちへ、犬らしく生きるための暮らしが提供できることとなりました。
おかげであくびのてんかん発作はどんどん減っていき、3歳で発症しましたが6歳になってからは一度も発作は起こっていません。
この環境改善についても今回は割愛させていただきます。
もう一つの悩みでもあったあくびとのコンタクト
そうして穏やかな生活をしている中で、今更気づく?という小ネタを一つ。
あくびが4歳になり、現在の住居に越してきてから気づいたのですが、あくびは難聴でした。笑。
そのことに気づいた時に「だから仔犬の頃私のコマンドに反応するのに多大な時間がかかっていたんだ!」と全てが結びつきました。
あの時は、この仔には普通の教え方では理解できないんだ、もっとじっくりゆっくり何度も教えなくては・・・と思っていました。
とんだ思い違いでした。
難聴に気づいてからは、あくびへのアプローチ方法を全部変えたので、それからはお互いの意思疎通がスムーズにいき、さらにストレスのない生活に改善されています。
選択肢として
あくびとの出逢いで得た経験は私の宝物です。
周りには、愛犬のことで私と同じように悩んでいたり、医師や専門家の力を借りても解決できずに苦しんでいる方がいます。
そんな方に、こんな事例もあるよ、と伝えたい。
実践するのは飼い主さん次第ですが、選択肢は多いに越したことありません。
たくさんの情報を手に入れることができる時代ではありますが、どれが正解でどれが自分や愛犬に合っているのか、その選択肢の一つとして私の知識と経験を役立ててもらえたら幸いです。
今の私があるのは、あくびのおかげです。
出逢ったあの日、なぜ私があくびを選んだか。
お互いにとって必然だったのです。
愛犬との出逢いには必ず意味があると思うんです。それは皆さんにも。
そしてここで終わりではありません。
どんなに知識を持っていても、症状と無縁になるわけではないからです。
加齢と共にさまざまな症状は出てくるでしょう。
ちなみに、3歳になってすぐに部分てんかんと診断されて以降病院へお世話になったことは一度もありません。
4歳になりベストと思える環境を与えることができてからは4年間健康診断とフィラリア検査以外で病院へ行くことはありません。
6歳でまさかの食物アレルギーを発症しましたが、それについては他のブログで載せてあるので読んでみてください。
愛犬の症状に向き合おうと思える方、正しい知識を持ってください。
必ず、愛犬との生活が変わります!
ちなみに、病院へお世話になることが悪いと言っているわけではありませんので誤解のないようお願いいたします。
医師から確定診断をいただくことが大前提です。
その症状に対する治療方針や決断は、飼い主に知識があることで選択肢が広がる、ということをお伝えしたいのです。
それができれば、愛犬に何か起きた時に医師や専門家に責任転嫁せず、自分自身ができることを溢れる愛情とともに愛犬に与えてあげられるのではないでしょうか。
そうしてそれこそが、愛犬が望むあなたとの生活であり、絆だと私は思います。